02/04/06 Last up date 08/06/12

dx-3最後のオリジナルミランダ 「今までのミランダより30%小さく、20%軽くなった」ミランダ

発売-1975-4
定価¥-75,800 ブラックは¥2000高。標準レンズ、Miranda-EC 50f1.4(21,000円)かf1.8付き(16,000円)
*クロームボディーとクロームのモータードライブ仕様は国内販売されていないようだ。
視野率-94%、電子シャッター:B,4sec〜1/1000。開放測光と絞り込み測光が切り替式。1977年の広告では、ブラックボディーのみ 55,500円であった

国内で発表された最後のミランダであると同時にミランダの最後のフルオリジナル・カメラになった。ボディーはとても小型で金属製である。
ミランダで最初で最後のペンタプリズムのとれない一眼レフで、 初の 電子シャッター機であった。
メーターは三点のLED表示、シャープな視野を約束する新しいスーパーマイクロスプリット・ピントグラスという視野率-94%のファインダーも売り物だった。
ボディーカラーはブラックが多い、 クローム・タイプは販売地域もかぎられており現存数は少ないようだ。
dx-3は倒産までのわずか1年程度の生産で一機種のみで消えた

クローム・タイプの生産ロットにはカメラの内部に重大な問題があり、使用中巻き上げができなくなるという欠陥があったそうだが、検証してみたところプラスチックの材質に問題があるようだ。クロームモデルに限らず、問題のプラスチックパーツにはパチンと割れてしまうといった材質による初期不良があったようである。
このため、巻き上げのドラムが割れてしまっていたと考えられる。
他にもタイマーのスイッチレバーは大半が欠損し、シャッターのセイフティーも割れてしまって用をなさないものがほとんどであろう。
生産開始までも難産だったようで、一説には、創業者の荻原に設計の手助けを受けやっと完成したと言う。
問題のあるカメラではあったが、コンセプトは大成功を納めたオリンパスOM-1同様のミニサイズのフルシステムカメラであり、性能も遜色の無いスペックを持っていただけに惜しまれる。

dx3 MOTOR DRIVE 1975 : price51,800-yen
巻き戻しも可能なモータードライブは、秒/3コマ、連続撮影時は1/15-1/1000間で使用可能というスペックは立派である。
実際に使用した感触では、モータードライブの質感はとても良く、作動も軽快であった。だが、このモータードライブは内部ギアの不良(おそらく、カメラ同様材質に難があった)により、コマ飛びが報告され、大半が回収後廃棄されたという。
日本と米国のみ販売された(てしまったらしい)というのだが、中古カメラとしての流通はほぼ皆無であろう。
ここ10年間のリサーチでは、完全に動くモータードライブセットは、高輪時代の松坂屋と、ヤフーオークションでただ一度現れたのみである。「よく見かけたけどなあ。」という証言を貰った事もあるが、はなしを照合してみると、どうやら同じものであったようである。
モータードライブ用(もしくはモータードライブ発売後の)のdx-3はボディー前面にモータードライブリンク用の穴が設けられている。

dx-3にはモータードライブ連結ギアが底面にあるがモータードライブは専用ボディーのみ装着できる。
(ボディーにトリガーコネクターの穴があるタイプがそうだ)

fig-1fig-2

とうとうペンタプリズムは交換できないカメラになってしまった。
ミランダにしては非常にオーソドックスなレイアウトになってしまい明らかに今までのラインと違う。
*セルフタイマーはメカニカルでは無くただのスイッチ。構造的にもろく、壊れやすいので失われていることが多いパーツ。
fig-2、fig-3で見比べると判るが、巻き上げレバー形状が異なるなど、わずかの生産期間だがバリエーションが見られた。 

fig-4fig-5

モータードライブのコネクタ−のないブラックとクロームモデル
(blackI llustration courtesy of MHS . chrom Illustration courtesy of Miranda volunteer ONO3.)

fig-6fig-7
底部分にLEDの有無のバリエーション

fig-6:三脚ネジ穴の横にあるボタンとLEDランプは、バッテリーチェッカー。これが付いている物が最初期型のようだ。
この他、白黒のボディーフィニッシュとは別に、巻き上げ角など3種のバリエーションがある。

dx-3MD幻のモータードライブ

撮影コマ数、秒/3コマで連続撮影時は1/15-1/1000で使用する。
カタログでは秒/4コマとなっているようですが、意気込み分1コマ多いのでしょうか?
グリップ兼 バッテリーケースには単3電池x10が収納され専用ニッカド充電池のインフォメーションは無かったようです。

モータードライブ定価-51,800円
バッテリーチェッカー 1,800円 リモコンスイッチ 2,000円
パワーコード 2,200円 コネクター 600円 MDキャップ 200円
という価格がカタログにみられました。

問題箇所はさておいて、ずっしりと重厚な質感が素晴らしく、安っぽさはありません。
シャッターを切ると軽快にモーターに連動しました。が、「故障」「欠陥」などの文字がちらついて気軽にシャッターを押せません。
モーターとカメラ本体の分割、接続には、ちょっとコツが必要でした。
しかし、カメラもモーターも造りがしっかりしており、装着してしまえば動作の不安感もなく問題箇所以外はけっこう丈夫なのかも知れません。

カメラ本体のほか2カ所にシャッターがあり3ポジションで撮影が可能

*バッテリーチェッカーが別体なのが珍しい **パワーコードでグリップ電池ケースと切り離して使用できる。

***
**Illustration courtesy of Miranda volunteer ONO3.

1976年は「キヤノンAE-1ショック」があった年です。この年の暮れに倒産したミランダにも影響はあったでしょう。1975、76年くらいというと、そのころ写真少年だった私は、それなりにカメラ雑誌を見ていたし、東京の大型カメラ店、ドイやヨドバシカメラもひととおり目を通していたはずですが、このdxー3は全く記憶がありませんでした。
ミランダというカメラメーカー自体が眼中になかったというか、ずいぶん後に、よく読んでいた雑誌にひっそりdxー3の広告が載っているのを再発見したくらいでした。

dx-3の定価\75,800(ブラックは+¥2000)は、オリンパスOM-1よりちょっと高い値段です。AE-1は\81,000(50mm1.4付き)でした。
ただし実売価格はOM-1やAE-1よりも安かったと想像できますので、割安感があったかもしれません。もっとも、ミランダdx-3とAE-1、OM-1を比較検討するヒトがたくさん居たとは思えません。
当時のアマチュア向けのカメラ価格を参考に上げて、この稿を終わります。
ミランダの(おそらく)主力機種だったオートセンソレックスEE :¥65,000(50mm1.8付き)
Fujica ST 901 :\95,500(50mm1.4付き)
Canon AE-1 :\81,000(50mm1.4付き)
Pentax K-2 :\100,000(50mm1.4付き)
Olympus OM-1: \74,500(50mm1.4付き)
Topcon IC-1: \5,2500(55mm1.8付き)
Petri FA-1: \52,400(55mm1.7付き)

 Copyright 1998 by Hiroki -Mirandi- Yamashita
All rights reserved.+ designed exclusively for MIRANDA enthusiasts.
TOP