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03/01/08 Last up date 08/05/28

ごく初期の国産ズームレンズであるSoligor Miranda Zoomは2種あった。
あまり知られていないレンズだが、フォクトレンダーのズーマーとほぼ同時代であることなど十分注目に値するだろう。

1962-SOLIGOR MIRANDA - 90mm-140mm f2.8
Telephoto Zoom lens
- group-elements : focus from 3.3 m to infinity - price $169.50

開放値が全域でf2.8のズームレンズである。
前玉が非常に大きいが、なんとフィルター径72mmだった。光学補正式で最短撮影距離:3.3m、重量:1,020g 44mmマウント

レンズは青系のきれいなコーティングが施されており400mmf5.5とよく似ている。 この90mm-140mmf2.8ズームは1962年ころの海外版AICのカタログに初めて載ったようだ。ちょうど国内販売していないころだからたぶん輸出オンリーだったのではないだろうか。国内での紹介は無かったようである。
90mm-140mmf2.8の製造は1年限りのようで、入れ違いにカタログに載った105mm-175mmf5.6は 64-65年頃のカタログまで確認できた。

このマウントはソリゴールの初期に普通に見られるもので、ネジの三点止めで連結方式がTマウントによく似ているが違う。
カタログでは、注文により希望のマウントへ改造するようなことが書いてあるので Tマウントの祖先のようなものかもしれない。

90mm-140mmという焦点距離の使い道は想像付きにくいが...140mmまで繰り出すと最短撮影距離の3.3mはバストアップくらいは狙える。(最短撮影距離が3.3mというと、だいたい聞いたヒトはブッとのけぞるが...)f2.8と言う明るさの使い道だが、たとえば舞台(ステージ)の撮影はシャッター音の小さなミランダの得意分野だったから活躍していたのではないだろうか?

fig-2fig-3 fig-4

02/03/11 ver.1.0

【Impressions】02/03/31.ver.1.0
最古の汎用ズームレンズ、ズーマーに範を取った古式ズームレンズの描写はいかようなものであろうか。歩き回るにはいささか重い、見た目の量感ほど重くは感じないが、しばらく構えていると重さで手が震えてしまう。
直進式ズームレンズだが、密閉性が高いようで自転車の空気ポンプを操作しているような感触である。
色味は 冷色系で非常にコントラストが低く、ボケは荒々しい印象だ。140mm側はそうでもないが90mmでは樽型歪曲が目立つ。逆光気味だとにじみが出て、フレアは画面を覆うように大きい。開放では周辺部分は乱れが見られたし遠景も線が太く解像力は乏しい…などと書くとまるでいいところ無しだが、この開放値と時代を考えると芯のあるとてもしっかりした描写をする、現代のレンズでは絶対に得られない描写であるという印象を持った。

今の目で見てしまうと、重いレンズだし、わざわざ苦労をして持っていってもできあがりはちょっとガッカリなのでコレクターズアイテム以上のものはないかも知れないが、開放のときに見られる収差を生かしてみると面白そうである。

 

1962?-SOLIGOR MIRANDA - 105mm-175mm f5.6
Telephoto Zoom lens
- group-elements : focus from 3.7 m to infinity - price $169.50

zoom絞り環とマウント部の部品が失われている個体

AICの刻印が入った完全な状態で保存されたパッケージ。ゴージャスな内装とデザインだ。
プライスのステッカーには169.50$と定価どおりの表示がある。フードは初期ソリゴール (フジタ)とおなじくレンズキャップの役目をしている。

前玉が平らなところもちょっと異様で、あくの強いルックスが印象深いのだがフードを付けると以外とオーソドックスな感じがする。
大きさは90-140mmf2.8と同じくらいだ。
私見だが、90-140mmよりも105-175mmf5.6のほうが出てこないように思う。

Illustration courtesy of Miranda volunteer of ONO san

02/03/29

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