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03/01/08 Last up date 08/05/21

AUTO MIRANDA - 50mm STANDARD LENSESlens-elements

ミランダはレンズ付きで買うことが多いので、ミランダをコレクトしてゆくと自然と標準レンズが増えてくる。
ミランダのレンズ、と言うとズノウばかりに話題をとられてしまうが、良く見ると標準レンズも微妙な違いがあって面白いのだ。
しかし分類はある意味とても不毛であった。
【ここでは1963年以降の中期、後期のオートミランダ50mmf1.9(1.8)に絞って検証する】

中期レンズAuto Miranda の特長 鏡筒:アルマイト処理の黒のサテンフィニッシュ
絞りリング:銀のサテンフィニッシュ。

オートミランダの多くはヘリコイドの先端にクローム(へアライン仕上げ)の飾りリングがある(無いものもある)。一部を除いて、フィルター径はf1.9は46mm径だけだが、f1.8は46mmから後に52mm径になり、ECでは49mm径となる。
Auto Miranda 5cm、50mm(cm)/F1.9、50mm/F1.8 オートメックス、センソレックス用のアーム付きタイプ、アーム無しのミランダ F 以降のタイプの2種。初期オートメックス、センソレックス用はクリック無し。
いずれも4群6枚、46mm径で絞り羽根は6枚。距離の数字の色はmは白、feetは緑、インチはオレンジ表示である。

lensオートメックス、センソレックス用のアームはセンソレックス系以外のミランダでは非常に邪魔である。AIC以後、アームはようやくネジ止めタイプに変更され取り外しが可能になった。
レンズは共通化して、すべて絞りにクリックがついた。
同じレンズに2種類のラインがあったのは生産性も悪そうな上、商品管理にも不都合があったのじゃないだろうか? アームの形状はここでは詳しく載せないが、少なくとも3種以上あったようだ。

fig-1:5本とも5cm、f1.9、46mm径。
すべて細部が違うのがお分かりだろうか?
まず、絞り羽根がすべて違うのに注目していただきたい。そしてSoligor の銘の入ったもの、Soligor の銘の入らないもの、Auto Miranda銘、Autoが大文字になったAUTO MIRANDA銘のもの、cm表示のもの、mm表示のものと、バリエーションは多い。

50mmf1.8

lensコーティングがf1.9時代に比べるとだいぶモダンになっているのがお分かりいただけるだろうか? フィルター径が52mmに大型化した、右下は初期型のフィルター径46mmタイプである。
アームがネジ止めの脱着可能タイプには絞りリングにクリックがある。
また、上左のみプレビュ−ボタンがあり、他の1.8、2本と50mm/F2.8にはない。 ミランダのカメラはボディーに絞り込みボタンがあったりなかったりクルクルと良く変わるのでほんとやっかいだ。レンズ側にもプレビューが付けられたり外されたりと忙しい。

*右上:レンズが小さいのはオ−トミランダ50mm/F2.8


1975年に 一部のauto Mirandaは設計が変わってECレンズが現れます。

 


01/10/20

 

- 雑誌によるミランダレンズのテスト・インプレッション -
ミランダレンズの評価は殆ど見かけないのだが、カメラ毎日の「レンズ白書」1969年版、で50mm f1.9、1.8、1.4と標準レンズが3種類同時にテストされた。この三種類が同時にテストされたのはおそらくこの号が最初で最後だと思うので、そういう意味で重要な資料と考えている(カタログ上ではf1.9は1968年まで)。

*この白書の評価方法は、現在の主流のレンズ評価方法とは違っていることをまずお断りしておく。
レンズの評価チャートは年代ごとにけっこうマチマチで、方法も雑誌ごとに違うがこの当時のカメラ毎日は「ハウレットチャート」によって良像面積と平均画質を求めていた。

この採点方法はざっと読んですぐ判るような代物ではなく、おまけに記事によって全体の平均数値を言ったり、開放値の場合のみ問題にしていたりと雑誌の計測方法からして統一性がないので、ここでは記事に共通している「開放、f2.8、f5.6、f11、の画質の平均評価点」の平均をだして掲載する。
なんだか元々複雑な評価をもっと複雑にしてしまったが、そういうことなのでよろしく、と...。

テスト結果をざっと紹介すると、50mm f1.8 は、ほぼ自然な色再現で、開放、f2.8、f5.6、f11、の画質の平均評価8.0点。50mm(cm)/F1.9は冷色系で8.6点、50mm/F1.4は、やはり冷色系で8.25点。
ちなみに、ニッコール50mmf1.4は8.75点、50mmf2.0は8.8点。
REトプコール58mmf1.4は8.1点、58mmf1.8は8.3点、ペトリ55mmf1.4は7.5点、f1.8で8.9点だった。

50mm f1.4の当時の評価は「5.6に絞ると画質は高くシャープになるが開放ではコントラストが低く周辺部に流れが...」
といった、まあ、当時の1.4クラスの普通の評価であった。

「1.4と1.8は0.3%あまりの樽型の歪曲があり、開放での周辺部コントラスト低下が大きくf2.8に絞っても変わらないがf5.6になると画面全体がシャープさを増し、f11になっても変わらない。

「f1.8のレンズは開放では物足りないがf5.6以上に絞るとAクラスの画質になる。クセの無いボヶだがボケ量は少ない。」というものでした。

雑誌の評価は、まあ、可もなく不可もないというところだろうか。
大体この時代になると変な収差のあるようなレンズがあるわけもないので、どれもみなそれなりの解像力と再現性があったであろう。

わたし自身が一番よく使ったミランダ50mmレンズは46mm径のセンソレックスIIの50mm f1.8、初期もので、実写してみて感じたのは、たしかに可もなく不可もなく普通。 シャープさにも可も不可もなくとどうと言うことはないが、なぜかひじょうに惹かれたのものだ。
この頃はまだ、ミランダは自分の中では全くノーマークのブランドであった。ミランダがクラカメ雑誌に取り上げられる事もほとんどなかったので、ようするにさして興味もないカメラだったのだが...、このときのレンズの状態がよかったのもあるだろう。「悪くない」と思ったのがこのサイトの始まりでもあったわけだ。

ぼちぼちとミランダの記事などもクラカメ雑誌でみられるようになったが、レンズには陽が当たらないと言うか、あまりいい評価はない。
実はわたし自身、ミランダのレンズはそれほどいいモノとも思っていないが、テストする側もあまり興味がないのか、それとも状態の悪いものをテストしているのか、本当は使ったことすら無いのではないかな?とも思うレポートなど...、おおかたの評価はジュッパヒトカラゲな書き方が多いな、と感じるのだが
雑誌で好きなカメラが取り上げられているのは嬉しいし、楽しく読めるものだ。

これら雑誌テストで現代の何かのレンズと較べているとすればナンセンス感じだが、無視されるよりはましでペトリに較べるとよっぽど恵まれているのではないだろうか....。

ミランダのような安手の"B級"メーカーのカメラなど場合、メンテナンスが施されて売られたり、保存されていることはあまり無いと思う。
実際、当時プロパーで購入した人にしても使いっぱなし、カビっぱなしで、最後はコドモのオモチャとして払い下げられるのも多いだろう。
そういうわけで、きれいなレンズ、ファインダーに出会うことはわりと難しいのではないだろうか?

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02/12/10