Miranda A -
2002-02-20 Last up date 05/09/21 2005-09-21

MIranda A、A-II 「ミランダA問題」をめぐって By 真蔵さん

 

 1.ミランダA問題とはなにか?

ミランダ初の巻上げレバー機はA型だが、このAにはシャッター最高速度の違いによって、A1とA2とに区別される。
A1が1/500秒、A2が1/1000秒だ。*1「日比文書」*2『スギヤマ図鑑』*3『広告でみる国産カメラ』にもこの区別で紹介されていることは、みなさんご存知のとおりである。
ミランダ研-注*1 日比 孝 「ミランダカメラのすべてとその歴史」 *2,3 高価な本だがあると便利。 図書館では良く盗まれているので借りにくいが、みんなちゃんと返しましょうよ。

じつはA1型については、いまだ私は現品を確認していない。
ミランダ研究会でも未見だそうだ。見かけるのは1/1000秒モデルのA2ばかり。

はたしてミランダAには、本当に1/500秒モデルが存在するのか------これが、いわゆる「ミランダA問題」である。

現物さえ出現すれば、一瞬にして解決してしまうスリリングな問題。

今日わからなくても、明日にはA1は目の前にあるかもしれない。
だからいつだって、誰にだって解決できそうな問題なのである。

2.ミランダAの円盤


アーリーミランダの巻き上げレバーモデルはA、B、C、D初期である。
このうちAとBとCは巻き上げレバー上部にフィルムカウンターがある。
トプコンRやアサペンAPと同じデザインだ。
このフィルムカウンターを、その形状から勝手に「円盤」と呼んでいるだけである。

別に空を飛ぶわけでもなく「お皿」と呼んでもかまわない。

この円盤には、その大きさによって、フルサイズタイプと80パーセントタイプの2種類が存在しており、もちろん前者の方が大きい。
この円盤大型(フルサイズ)タイプには、カウンター20枚目と36枚目に三角の赤い指標が入れられていて、円盤小型(80パーセント)タイプにはない特徴となっている。

ところでこの円盤だが、従来、ミランダA問題の解釈にとって大きな意味をもっていると考えられてきた。MHSの見解では、円盤大型タイプはA型だけに存在し、そのタイプをA1(=初期型)としていたからである。

裏をかえせば、円盤小型の方はA2以降(58年のB型、59年のC型まで)にあてはまるということだ。ただしMHSには、どういうわけかA1の説明として1/500秒の最高速シャッターという特徴を取り上げていない。

なぜだろう。

MHSも、じつは1/500秒モデルを見ていないのだろうか? 当初より抱いていた疑念である。

(ミランダ研-*注 その通りでMHSではまだA-1を確認できていませんが、主催のTom surovec 師匠は「ある」と言明されたそうです。しかし、MHSサイトの主催のCraigにいさんやスイスの重鎮、Rudi 師匠達は懐疑的なようです。
とくにRudiあにさんは初期型のミランダにはたいへん造詣が深く、この目でミルまでは自分の目の黒いウチは存在を認めない!といっております。
-ちょっと話はふくらませてあります。:- )

3.本論------前期型と後期型の発見


さて、ミランダA1である。

海外オークションや国内ショップでしばしば現れるA型だが、ことごとくA2ばかり。
私も注意して見るようになったのは最近なのだけれど、それにしてもA1が出てこない。
ところがである 。
さきごろMHSの言う初期の円盤大型タイプが出てきたのだ。
いやそこに眼が行くようになって、はじめて初期タイプに気付くようになったというのが正直なところである。
ともあれ、最近、何度か円盤大型の初期型Aを見る機会に恵まれた。
eBayや近頃行われた中古カメラ市でも目撃されているし、雑誌広告の写真にもこのタイプが出ていた。
ただしそれらはどれも幻(?)のA1でなく、1/1000秒モデルのA2であった 。惜しい。
とはいえこの発見は、円盤大型=A1という定説(?)を覆す出来事ではあった。
これをきっかけとして、私のなかでミランダA問題が進展した。
もっともA1が確認できたわけではないので、以下はあくまでもA型に1/500秒モデルが存在するという前提での話しである。
ある資料によれば、A1もA2も(そしてB型も)1958年発売である。
かりにこれらが、59年のC型のころにはディスコンになっていたとすれば、たった1年間だけの短命モデルだったということになる。
じつは私は、かつてA型のバリエーションと円盤との関係を、誤って次のように理解していた。

58年の4月、最初にまず円盤大型タイプのA1が発売され、そのあと円盤が小型のタイプに改められ、ほどなくして1/1000秒モデルのA2も出てくる(したがって円盤小型タイプにはA1とA2の両モデルが混在する)。
そして後半になって、円盤小型のA2だけとなる・・・というふうに。
かりに混在期がごく短期間だと解釈すれば、円盤大型タイプをA1としたMHSの解釈とも、つじつまが合う。
しかしこの勝手な推論はマズかった。
円盤大型タイプにA2が存在しないと勝手に思い込んだのもマズかった。
円盤の大小がどうであれ、所詮はA1を見たことのない私の推論であったのだ。

というわけで円盤大型タイプのA2である。これが存在していたことはすでに述べた。
何台か見かけたので、イレギュラーなものではないだろう。
調べてみたら資料のなかにも確認できた。たとえば『スギヤマ図鑑』である。
現物確認できたものだけその写真を掲載するというのが、この図鑑の編集方針だそうである。
ここのミランダAの写真をよぉーく見てみると、A1は当然のことながら、A2も円盤大型タイプだった、さらに驚くことにB型までも円盤大型タイプなのである。
これには驚いたが、そういえばA型とB型の発売時期はほぼ一緒である
。ということで、この円盤の大小でA1とA2を区別するというMHSの解釈は、どうやら却下されねばならないということが分かってきた。これら一連のセコイ発見を整理すると、次のようなことになるのではないのか。
思い切ってご紹介しよう。

フィルムカウンター円盤大型: A1型、A2前期型、B前期型

フィルムカウンター円盤小型: -----、A2後期型、B後期型 (※A1の円盤小型モデルの可能性は不明?)

考えてみたら、なんてことはない解釈ではある。
なんだ前期と後期に分けているだけじゃないかなどと怒らないでいただきたい 。
A2、B型にそれぞれ前期・後期型があることが確認されただけでも、オタクにとっては大いなる前進なのである。
もしかしてすでに知っている人は知っていたことなのか?

 喜んで騒いでいるのは私のようなオタクだけかもしれない。
こう書いているときでも、きっとどこかの誰かの手の中に、A1はあるのかもしれない。
そんな人からみたら、こんなことで騒いでいる私はきっと変な人間に映るであろう。
もしさらに、B型に1/500秒モデルがあったら大変なことになるなどと思ったりするのだけれど、いまは、このような人を誤導するようなことを言ってはいけない。
ところで初期の円盤大型モデルでは、巻き戻しクランクのつまみ部分も、後期のモデルと違うようだ。私は一台しか確認していないので全てにあてはまるか分からないが、クランクを回すとき親指と人差し指でつまむ部分、ここが根元と一体の作りで先端が回らないのである 。
だから巻き戻すとき指の腹がくすぐったくなる。
小さな発見ではあるが、これも報告しておきたい。

4.幻なのかA1よ!


 ほんのちょっと前に先人が明記し、その存在があたりまえのように考えられてきたA1。

それがいま幻のカメラとして扱われる。みんな知っているのだけれど、誰も見たことがないカメラ。
すぐにでも見つけられそうだし、持っている人がまわりにいそうである。
でも探すと誰ももっていない。
こういう話は、なんだかロマンがあって好きだ。
もうちょっとで解決できそうな問題を考えるのは、とても楽しいものである。
パズルにしても最後のピースを嵌め込む直前が一番楽しい。

ただ私が一番恐れているのは、A型にじつは1/500秒モデルなんてなくて、フィルムカウンターを改良した前期・後期の違いがあるだけだったという最悪のシナリオである。
まさかそんなことはと思うのだが・・・。
いや、そんな夢のない話はやめよう。
なんだかんだ言っても、ミランダA1はいまだ確認されていないのだから。
ゆえに「ミランダA問題」もいぜんとして解決していない。

A1探索のロマンはこれからも続いていく。

というわけで、最高速1/500秒のA型をお持ちの方、あるいは見かけたという方、ミランダ研究会へ是非ご一報を!

(文責:ミランダのことはよく知らない真蔵)


 

と言うレポートから早くも10ヶ月たちましたが、真蔵さんはあっというまに探し出してしまいました
さすがはアレを2台持っているほどの収集力です。

真蔵レポート - 2

緊急報告 ついに幻のミランダA1を発見! ----------------------------------------

ほら、1/500でしょ?そしてこれが初期型のビッグダイアルです。
フィルムカウンターの黒ダイアルが大きい...外周の段が小さいというスタイルです。

ついに幻のミランダA1が発見されました

  そうです、近年その存在が疑問視されていた、あのA1です。
ご存知のとおり「A1」というのはミランダA型のバリエーションで、1/500秒の最高速シャッターをもつモデルです。
最高速1/1000秒モデルはA2といいます。
ある資料によると、A1は1958年4月に発売されたことになっているのですが、なぜかこのA1をもっている人を見かけることはありません。
目撃情報すらないのです。
MHSでもミラ研でも現品を確認していないというのですから、その存在を疑問視されても仕方ないでしょう。
もちろん私も見たことがありませんでした。
このあたりの事情は上記「ミランダA問題をめぐって」に述べていますので、関心のある方は是非ご一読を。
ともあれその真蔵リポートから約9か月、とうとうその日はやってきました。
発見されたA1は、アメリカのある有名カメラ店から購入したのですが、現物を見るまでは半信半疑でした。
いちおう画像を見ることができたとはいえ、シャッターダイヤルの数字までは確認できませんでしたし、程度以外の商品説明がなかったからです。

でも、そのぼんやりした画像から「もしかして…」というかすかな期待があったのも事実。
残念ながらコンディションはいまひとつでしたが、リーズナブルな価格でしたので迷うことはありませんでした。
ここではお値段はふせておきましょう。
代金支払からわずか4日。待望の小包は届きました。
早い。そそくさと梱包をほどき、古びたミランダを手にとると、そこには…。
やったー! ついにやりました! 
まぎれもなくそれはA1でした(まあ、はたから見るとそれほど大はしゃぎには見えなかったでしょうが、私の頬はかなり緩んでいたと思います)。
シャッターダイヤルの黒塗装に傷みがありましたが、たしかに最高速シャッターは1/500秒。
ダイヤルには「1000」の数字も「x」接点の指標もありません。
もちろんフィルムカウンターは円盤大型タイプ(通称ビッグダイヤル)です。
くぅ〜。うるうる(涙)。

 でもなんともあっけなかっ! たですね。
もうしばらく隠れていて欲しかったという気持ちも、今となっては少なからず、ではあります。率直なところ。
ともあれこうして、幻のA1は発見されたのでした
(くれぐれも、んなぁ大袈裟なぁ…なんて言わないでくださいね)
さて、ミランダおたくなら誰しも気になるシリアル情報ですが、このA1のシリアルはかなり若いものだと思われます。

お教えしちゃいましょう。
「571***」(伏せ字でけっこうもったいぶってます)。
ミランダのばあい、シリアルの末尾3桁を隠しちゃうと、すべて隠しているのと変わりません。
だからもう一桁お教えします。
「5712**」 
全桁教えないと、わが弱小派閥の長に「小一時間問い詰められそう」なので、氏にはこっそり教えておきました。
シリアルの伏せ字部分をお知りになりたい方はミラ研までご請求ください。

付属の標準レンズは「Y」のmiranda 50/1.9(PADタイプ)です。
soligor mirandaではなくただのmiranda50/1.9です。
フィートとメートルの併記タイプですから、ここが前者と異なっています(soligor mirandaはフィート表示のみ)。
問題のA1のボディーシリアル「5712**」ですが、これについて興味深いことがわかりました。
じつはこのA1よりも若干小さなシリアルのA2を確認しているのです(5710**)。
ある程度予想されたことですが、これは一体なにを意味しているのでしょう?
まあサンプルひとつじゃ、なにも分かりませんが、いろいろと想像はふ! くらむでしょう?
私もかなり膨らましちゃってます。

こうしていまA1は私の手の中にあります。
古びてはいますが、にぶく輝くクロームメッキのミランダは、つよく自己主張をしています。

「おらぁ〜正真正銘のA1だべ、そこらのA2ブラザー達と一緒くたにすんなよ」と。

はいはい、わかったわかった、やっと見つけてもらったんだもんね。


(文責:あっけなく「ミランダA問題」が解決しちゃって淋しい真蔵) 2002年2月19日

 

2001年5月31日01/05/31- 2002-02-02 -02/02/20

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