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+03/01/10 Last up date 10/06/05 (修正10/06/05 )

P.A.D - External semi automatic lens(Y)1957

1957年、Miranda A、Miranda T2(1/1000シャッタータイプ)と同時発売で、国産初のシャッターボタン連動の絞り込み装置がついたレンズである。当時は自動絞りレンズと呼ばれた。
ミランダは開発当初から自動絞りレンズ仕様が考慮されていたのだがミランダBと日本未発売のミランダAにようやく標準装備された。

エキサクタ用のレンズにみられる絞り連動機構とは似て非なるものでエキサクタのデッドコピーではない。 コピーになることを回避しオリジナルにこだわったミランダの連動機構の仕組みは、ボールベアリングを使いそれなりに凝った構造だったがエキサクタの歯切れ良いアクションにくらべ、ミランダの場合ボタンを押していくにつれ絞りが無段階で絞られていく方式であるためシャッターのタイムラグがかなり大きい。
今の目で見た印象ではエキサクタ(シュナイダー、ツァイスなど)の絞り連動機構は大変完成度が高く、おまけに頑丈であった。一方ミランダの連携部分は材質が経年変化で摩耗している場合が多い。日本製のカメラ全般にいえる事だが金属の材質からして違うのだ。このせいか現代では絞りの連動機構は不動な個体も多い。動作も重く鈍いのでエキサクタと比べてしまうとちょっと分が悪い。
いずれにしろ 翌年1958年に完全な自動絞り機構を持ったニコンFが出たからあっという間に陳腐化しただろう。

このシリーズにはシャッターのボタン、レバー部は形状にバリエーションがみられ、Miranda、Soligor Mirandaと銘板表示にもバリエーションが有る。
Miranda C、Bには後期型(2ndとしてもよい)が付けられた。後期型はバレル以外、ヘリコイドリング、絞り環、フィルターリングマウントリングがブラックに塗られた仕様。
最短は18"inch 。距離表示はフィートのみで無限遠が赤、フィートは黒、インチは赤の塗料で識別される。

このレンズのマウント側を見ると絞りの連動ピンのようなものがすでに設けられているが、実際ボディーが連動機構を持つのはオートメックスからで1960年以降である。後の自動絞り連動ピンの位置と約90°離れている。

fig-4-3

 

プリセットタイプのソリゴールとズノウと同様2通りのコーティングが見られる。
比較するとは重量も少し違う。シリアルナンバーからするとコーティングの青い方が初期である。青いほうは290g、バイオレットのコーティングの方は280g、わずか10g軽いだけだが手に持っただけで判る違いだ。

 

以下は通称K、コーワ製造と思われるシリーズだ。さらにリニューアルされたモデルである。

P.A.D - External semi automatic lens(k)1958? -

上記「Y」に代わって現れた「k」シリーズである。このシリーズは名称に変遷がある。
最初期と目されるのがProminar 、それから「Prominar Miranda」となり、「Soligor Miranda」となってから「k」のシリアルナンバーとなる。

コーワのプロミナーレンズは海外の方でより知名度が高かった、らしい。

fig-5
右は「TY」50mm、左は「K」5cm
。マウントのローレットに注目。

Soligor Miranda「Y」と「 K」の間には 「TY」のシリアルナンバーがごく少数ある。TYナンバーのモデルにはProminarの外見的特徴が色濃く残されており、一種のミッシングリンクのようなモデルである。
PADは1965年のカタログ掲載を最後に次世代機Miranda Fの新型のオートミランダレンズにすべて切り変わったので はないかと思う。

fig-6 : マウント部分のローレット
ギザの無い方はプロミナーとTYに見られる初期のタイプ。fig-6

Miranda 50mm f1.9 TY : 1/30 f2.8

開放ではないが周辺部分のハマグリ型コマ収差や渦巻くような背景はかなりダイナミック。

【Miranda 最速のレンズ Soligor Miranda 58mm f1.5】
ミランダの大口径レンズは二本だけである。その一本、オートメックス用85mm f1.8はカタログにかろうじて写真があったが、この58mm f1.5は1960年版 " OFFICIAL MIRANDA MANUAL "に被写界深度表とインプレがあるものの、なぜかレンズの画像が無く、姿さえ永らく謎だった。

Kナンバーのミランダレンズ最速のレンズである。
塗り鏡筒、マウント部分にギザローレットがないタイプ。と、初期タイプの特徴を備えている。

フィルター径55mm、5.8cm表記。フィート、メーターの距離表示、最短は17inである。
絞り羽根は6枚。鏡筒は真鍮で塗り、重量420g、f1.9の標準レンズはおよそ260gだから持ち替えるとずしりと重い。

Soligor Miranda 58mm f1.5

Miranda D 1/500 f1.5Miranda D 1/60 f5.6

このレンズとマッチングのカメラは1961 年発売の流線型のMiranda Dであろう。 わずかな期間でディスコンティニューになっている。
さすがに開放の遠景は線が太く解像感に乏しい印象だが気になるレベルではない。2段絞ると最良画質が得られ当時の一眼レフ用のf1.5(1.4)クラスと同じようなオーソドックスな写りであるという印象であった。

内面反射の多いカメラの方の問題で画面上部にフレアがありコントラストが低い。ミラーボックスの底面が内面反射するようだ。
該当する部分にフロッキングテープを貼ってやると解消するかも知れない...。

さて、いよいよミランダも1960年、完全自動絞り連動を達成する。

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